「コケ」にできないコケ?
小さくてきれいな花も咲かず、食糧にもならないため、コケにされがちなコケ。
しかし、コケは生態系の維持に重要な役割を果たしていたり、日本の文化と深い関係があったりするなど、大変興味深い植物です。
ちなみに「コケにする」のコケは「虚仮」という漢字を用い、「実のともなわないもの」を意味します。植物のコケはもともと「木毛」と書いてコケと読んだようで、文字通り、「木に生えた毛のようなもの」を表していました。
「コケにする」の「コケ」と植物の「コケ」は同じ「コケ」でも「コケ違い」なのです。
コケが豊かな日本
湿潤な気候にめぐまれた日本は世界の中でもコケが多い地域です。世界には約18000種のコケがあるといわれており、日本では1670種ほどのコケが生育しています。つまり、世界の陸地の約1%程度の面積の日本の国土で、全世界の約1割のコケがみられるのです。
コケが豊かな日本では、私たちの身の周りのいたるところでコケがみられます。これらのコケは生態系の維持やアメニティの向上など、いろいろと活躍しています。
ただ、奥ゆかしいコケは自ら進んでその役割を主張することがないためでしょうか、その活躍はあまり注目されることがないようです。
コケから何がわかる?
「コケが活躍している」と言われても、コケと聞くと、どうしても「しぶい趣味の世界」のイメージが強く、いったいコケがどうやって活躍しているのか想像がつかないかもしれません。
では、「コケ」はなぜ重要なのでしょうか?また、コケを研究することで、どんなことが分かるのでしょうか?
研究紹介のページで、これまで行ってきたいくつかの研究を紹介します。
(参考)コケ庭のコケをみたいなら・・・「苔三昧)
このたび、著書「苔三昧 モコモコ・うるうる・寺めぐり」を岩波書店から出版しました。
「コケ庭でコケを学ぶ」というコンセプトで、初心者の方でも楽しんで読んでいただけるよう、分かりやすい解説を心がけています。
また、コケの種類や苔庭の説明だけでなく、「日本の文化とコケ」「庭園の歴史と苔庭」など、いろいろな視点からコケを解説していることも、本書のポイントです。
なお、この本では全国から選んだ見ごたえのある70の苔庭を紹介しており、これまで出版された本の中で、最も多くの苔庭を紹介している本でもあります。
本書が皆さんの苔散策のお役にたてること、心より願っています。
(参考)山のコケに興味があるなら・・・ 「苔登山」
(参考)野外でコケを楽しみたいなら・・・「コケ図鑑」
(参考)コケの美しさを楽しみたいなら・・・「コケはなぜに美しい」
きれいなコケは 好きですか?
P.S.
- 研究の概要
- 自己紹介
- なぜ、コケ?(一般の方むけ)
- 研究(都市生態系)
- 都市緑地のコケ保全
- 日本庭園のコケ多様性
- コケ多様性の評価手法
- 研究(山岳生態系)
- シカの食害対策とコケ
- 地球温暖化の影響
- 山岳生態系の脆弱性
- 山岳自然公園の適正利用
- 研究(環境動態)
- 大気汚染の評価
- 環境モニタリング
- 地域貢献活動
- 今日のコケ
- コケ庭100選(随時更新中)
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